稼いだら絶対に払わなくてはいけない税金。できることならなるべく払いたくはないですよね?
中には
「海外FXなら税金の抜け道があるらしいよ?」
「多少の稼ぎなら税金を払わなくても大丈夫」
こんな話を耳にして、実際に税金を払わなくてもいい方法があると思っている方もいるでしょう。
本当のところ海外FXには税金の抜け道はあるのでしょうか?
本記事では海外の税金について詳しく解説していきます。
海外FXの税金について詳しく知りたいという方の参考記事になっています。是非ご覧ください。
参考記事はこちら
海外FXに税金の抜け道はある?
まず結論から行きましょう。海外FXであっても税金に抜け道はありません。一定以上の金額を稼いだら必ず確定申告と税金の納付が必要です。
海外FXだから税金の申告はないという事実は存在せず、日本に住んでいる方が何らかの方法で収入を得た場合、必ず税金の支払い義務が発生します。
税金を支払わないと脱税になる
税金の支払い義務が発生しているにも関わらず税金を支払わなかった場合には脱税となり、取り締まりの対象となる可能性があります。
脱税の罪の重さは10年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金。もしくはその両方。さらに追徴課税が課されるというかなり重い罪となっています。
脱税は立派な犯罪ですので、海外FXで発生した利益は必ず申告して税金を納めるようにしましょう。
脱税は必ずばれる
とはいえ、
「ちょっとくらいの申告漏れならばれないよ」
「個人が稼いだ利益くらいなら脱税しても調査なんて来ないよ」
などという話を聞くこともあるでしょう。ですがそんなことはありません。脱税は必ずばれます。
その理由で大きなものは海外からの送金履歴です。金融機関は海外から日本へ100万円以上の送金があった場合、“国外送金調書”というものを税務署に申告しています。
この調書には送金者、受取人、受け取り口座番号、金額、取次金融機関などが記載され、海外FXであれば、送金元の取引所、受け取り人の氏名、振込先口座、経由した銀行などの情報が記録されています。
高額な海外からの送金があった場合、税務署はこの調書をもとに受取人の口座を調査。税金の申告額過小であると判断された場合に税務調査が入ります。
100万円未満の送金ならバレないんじゃ?
100万円以上の送金で調査されるなら、100万円未満の送金ならバレないのでは?と考える方もいるでしょう。
確かに100万円未満の送金であればルール上、調書の提出が認められていないためバレないようにも思われます。
しかし、目的不明の海外からの送金が複数あれば怪しいのはすぐにわかります。調書を提出しなかったとしても銀行が不審に思えば調査が入りますし、少額の海外送金を繰り返せば手数料で大きくマイナスする可能性もあるでしょう。
結果として少額送金だからばれないということはなく、いくらであっても無申告はバレるという認識を持っておくことが大切です。
いくら稼いだら税金を納める必要があるの?
では実際にいくらの利益が発生したら税金を納める義務が生まれるのでしょうか。それについては年間20万円が基準となります。
FXに限らず日本の税制では、個人が1月1日から12月31日までの1年間で、20万円以上の利益が発生すると確定申告の義務が発生します。
確定申告によってその年の所得税額が決定し、翌年に支払い通知書が届きます。
利益は年間ベースで計算するため、月間の損益事を計算する必要はなく、仮に1月から11月までに100万円利益が出ていたとしても、12月の損失が90万円であれば年間の利益は10万円となり、確定申告の義務は発生しません。
反対に1月から11月までの間に100万円の損失が出ていたとしても、12月に120万円の利益が発生した場合、年間利益は20万円となり確定申告の義務が発生します。
ちなみに、利益の発生基準はポジションを決算したタイミングです。年末をまたぐようなポジションを持っている場合、含み損を清算するか含み益を翌年に繰り越すかによって年間収支が変動します。
税金はいくら?
海外FXで発生する税金は次のように決められています。
所得額 | 税率 | 控除額 |
1,000円~194万9,000円 | 5% | 0円 |
195万円~329万9,000円 | 10% | 9万7,500円 |
330万円~694万9,000円 | 20% | 42万7,500円 |
695万円~811万1,000円 | 23% | 63万6,000円 |
900万円~1711万1,000円 | 33% | 153万6,000円 |
1,800万円から3,911万1,000円 | 40% | 279万6,000円 |
4,000万円以上 | 45% | 479万6,000円 |
上記の税率に住民税約10%が加算されます。
したがって海外FXの最大税率は約55%となり、4,000万円以上稼ぐと2,000万円ほどが税金として差し引かれます。
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節税は脱税にはならない
FXで稼いだ金額を申告しなかったり少なく申告するのは脱税です。しかし、収支の見直しをして、税金の最適化を図る“節税”は犯罪にはなりません。
ここからは海外FXで発生した利益の節税方法をご紹介していきます。
節税対策①経費を計上する
海外FXで発生する税金の徴収方法は“総合課税”と呼ばれ、私たちが働いてもらう給料や、副業による収入、仮想通貨取引などで発生した所得と同じ扱いになります。
海外FXで計上できる経費には次のようなものがあり、直接FXに関わる商品であればすべて会費として計上できます。
- FX関連の書籍(雑誌や専門書等)
- FXセミナーや有名トレーダーの主宰する講習代
- 自動売買ソフト(EA)利用料
- コピートレードの利用料
- パソコン購入費
- 通信費
上記はほんの一例ですが、基本的にFXにさえ関わっていればほとんどのものが経費として認められます。
しかし、FX以外でも利用できるものや直接FXに関わりのないもの(水道光熱費、食事代、直接関係のない移動費など)は経費として認められない場合もあるので、経費計上で心配な方は専門家へ相談してみるといいでしょう。
節税対策②いっそのこと事業にしてしまう
海外FXで安定的にある程度稼げるようになったら、法人事業にしてしまうのも節税効果が期待できます。
法人にしてしまえば経費として使える勘定名目の幅が広がりますし、従業員を雇って給与を支払うこともできます。
家族を従業員として雇ってしまえば、個人よりはるかにおおきな節税効果が得られるでしょう。
但し、法人化してしまうと提出書類のルールが厳しくなってしまったり、損益に関わらず法人税が発生するなどデメリットも少なからず発生します。法人化は個人の所得税が法人税を上回るタイミング見計らって行うことがおすすめです。
法人税が個人の所得税よりもお得になるタイミングは?
法人税額は最大で実効税率33.4%(住民税含む)です。個人の所得税率と見比べると年間所得が約800万円を超えると法人税の方が安くなることが分かります。
したがって、個人から法人化するタイミングは“年間利益が800万円を超えたとき”基準と考えていいでしょう。しかし、先程も述べたように、法人ならではのメリットも数多くあるため、場合によってはもっと低い所得でも法人化を検討する余地はあります。
節税対策➂損益通算を行う
損益通算とは各課税所得の損益を合計し、年間の所得を決める方法です。総合課税である海外FXは、その他の総合課税所得の損益を合算して年間の所得とすることができます。
例えば海外FXで200万円の利益が出ていたとして、同じく総合課税である仮想通貨取引で200万円の含みがあったとしましょう。
この場合総益通算を利用すると年間所得は0円となり、所得税が発生しません。
他にもアフェリエイトなどで300万円の利益が出ていたとしても、海外FXや仮想通貨取引で250万円の損失が出ていた場合は損益通算によって課税対象額を50万円に抑えることも可能です。
大きな所得や損失が発生したときには損益通算を行って、適切な所得を算出しましょう。
損益通算をするには確定申告が必要
ただし、損益通算を行うためには確定申告が必要です。損益通算の結果所得が20万円を下回ったとしても、確定申告をしなければ利益分のみが所得として計上されてしまいます。
複数の所得をまとめる場合には少額であっても必ず確定申告を済ませることをお忘れなく。
節税対策④ボーナス損失を計上する
海外FXで発生した損失の中には、ボーナスクレジット分の損失も含めることができます。ボーナスクレジットとは海外FX業者のほとんどが行っているサービスのことで、初回入金や口座開設、取引高に応じて取引に利用できるクレジットが付与されます。
ボーナスの中には初回入金額が3倍になったり、新規の口座開設で取引用のクレジットが付与されたりと、内容はさまざま。
ボーナスを利用すると入金額以上の金額を取引できるわけですが、万が一資金を全損させたとしてもボーナスクレジット分は損失として計上できます。
ボーナスを含めて損失計上することで元本以上の損失が発生し、他の総合課税と損益通算をすれば課税額を更に圧縮することができるでしょう。
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参考記事はこちら
【まとめ】海外FXの税金に抜け道はない
たとえ海外FXであったとしても税金の抜け道はありません。年間20万円以上稼いだら確定申告をして、納税の義務が発生します。仮に少額の利益であったとしても銀行への送金履歴をもとに調べられればすぐに申告していないことがバレますし、何より脱税は犯罪です。
とはいえ、節税は全く法律的に問題はありませんので、税金を晴らす努力はなるべくした方がいいでしょう。
経費を計上し、損益通算をし、場合によっては法人化も検討することで税金額は最適化できます。
しっかり稼いで、きちんと節税して、納税義務を果たして下さいね。
執筆者 西村大樹