FXで勝つためには欠かせない環境認識やチャート分析。これらは“テクニカル分析”や“ファンダメンタルズ分析”と呼ばれる方法で行い、将来の値動きの動向を予測します。
しかし、テクニカル分析・ファンダメンタルズ分析ともにすべてを理解するのは非常に大変です。そこで今回はFXで重要な”分析“について初心者にも分かるように簡単に解説します。
まずは用語や基本的な考え方を理解して、分析の基礎を覚えましょう。
目次
FXとは
FX(Foreign Exchange)は、外国為替市場で異なる通貨を取引することを指します。通貨ペア(例:米ドル/円、ユーロ/米ドルなど)を売買し、その為替レートの変動を利用して利益を得るのが目的です。FX市場は24時間取引が可能で、世界中のトレーダーが参加しています。
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FXの分析方法は2種類
FXで利益を上げるためには、適切なタイミングで売買を行う必要があります。そのために、主に2つの分析方法が用いられます。
- テクニカル分析: 過去の価格データや取引量などの統計情報を基に、将来の価格動向を予測する手法。
- ファンダメンタルズ分析: 経済指標や政治的な出来事、中央銀行の政策など、経済全体の状況を基に価格動向を予測する手法。
テクニカル分析とは
テクニカル分析は、チャートやインジケーターを使って、過去の価格動向を分析し、将来の動きを予測する方法です。過去のデータはしばしば繰り返されるため、そのパターンを見つけ出すことが目的です。例えば、サポートラインやレジスタンスライン、移動平均線、ボリンジャーバンドなどの手法は、過去の値動きの動向から価格が反発しやすいポイントや、トレンドの終点を探るために用いられます。
ファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ分析は、経済状況や政治動向、社会的な出来事など、マーケットに影響を与える要因を分析し、通貨の価値を評価する手法です。
一般的に為替に大きな影響を与える経済指標には、GDPの成長率、失業率、インフレ率、中央銀行の金利政策などが挙げられ、指標発表前後はトレードを控えるのがセオリーといわれています。
テクニカル分析の代表的な手法5選
ここからはFXの重要な分析手法の一つであるテクニカル分析の代表的な手法を5つご紹介します。まずはこれらの分析方法を基本としてFXへの理解を深めることが利益につながる行動となるでしょう。
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移動平均線
移動平均線は、一定期間の終値の平均を取って線で表したもので、価格のトレンドを視覚的に把握するために使われます。具体的な例でいえば、20日移動平均線と50日移動平均線を比較し、20日線が50日線を上回るゴールデンクロスが発生した場合、上昇トレンドの始まりを示唆といった具合です。
具体例
米ドル/円のチャートで、短期移動平均線(20日)が長期移動平均線(50日)を上抜けしたとき、それまでの下落トレンドが終わり、上昇トレンドが始まるシグナルとされます。このような時、買いエントリーを行うことで利益を得られる可能性があります。
RSI(相対力指数)
RSIは、一定期間内の価格上昇と下降の強さを比較して、現在の相場が過熱状態にあるかどうかを示す指標です。通常、70以上で「買われ過ぎ」、30以下で「売られ過ぎ」と判断します。
具体例
ユーロ/米ドルがRSI70を超えたとき、相場は過熱していると判断し、そろそろ反転する可能性が高まるため、売りエントリーを検討することができます。
MACD(移動平均収束拡散法)
MACDは、短期と長期の移動平均線の差を取ることでトレンドの強弱を判断するツールです。シグナルラインと呼ばれる9日間の平均線とクロスすることで、売買のシグナルが発生します。
具体例
英ポンド/米ドルが上昇トレンドにあり、MACDがシグナルラインを上抜けした場合、さらなる上昇が期待されるため、買いエントリーを行うことができます。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドは、価格の標準偏差を基にしたバンドで、価格がこのバンドの上限または下限に達した場合、逆方向への反転が起こる可能性を示唆します。
具体例
豪ドル/米ドルがボリンジャーバンドの上限に達し、さらにバンドが収束し始めた場合、反転して下落する可能性があるため、売りエントリーのタイミングとして考えられます。
フィボナッチリトレースメント
フィボナッチリトレースメントは、主要な価格の高値から安値までの間にフィボナッチ数列(0.382、0.500、0.618など)に基づいた水平線を引き、価格がどの水準まで戻るかを予測する手法です。
何故フィボナッチ数列が影響するのかは不明で、ある意味経験則に則った分析手法ともいえます。
具体例
米ドル/スイスフランが大幅に上昇し、その後の調整でフィボナッチリトレースメントの61.8%の水準で反発した場合、買いエントリーを検討するタイミングとして適しています。
ファンダメンタルズ分析に重要な経済指標5選
次はファンダメンタルズ分析の紹介です。テクニカル分析に比べて難易度が高く感じられるファンダメンタルズ分析も、重要な経済指標の用語さえわかってしまえばそれほど難しくはありません。
もちろん完璧に指標の意味を理解するのは非常に困難ですが、おおよその意味さえ知っておけば急激な値動きに巻き込まれるリスクを減らすことが可能です。
ぜひ覚えておいてくださいね。
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GDP(国内総生産)
GDPは国の経済規模を示す指標で、成長率が高いと生産性が高く、その国の通貨に対する信頼が高まりやすくなります。
具体例
米国の四半期GDPが予想を大きく上回った場合、米ドルが買われ、米ドル/円が上昇する可能性があります。
失業率
失業率は労働市場の健康状態を示す指標で、低い失業率は経済が好調であることを示します。
具体例
ユーロ圏で失業率が低下し、予想よりも良い結果が出た場合、ユーロが買われ、ユーロ/米ドルが上昇することが期待されます。
インフレ率(CPI)
CPI(消費者物価指数)は、物価の上昇を示すインフレの指標です。インフレが進むと中央銀行が金利を引き上げる可能性があり、通貨価値が上がることが期待されます。
ただし、通貨価値の上昇が行き過ぎの場合、株価に影響を及ぼすこともあり、場合によっては通貨価値が下がることもあります。
具体例
英国のCPIが急上昇し、インフレ懸念が高まった場合、イングランド銀行が金利を引き上げるとの期待から、英ポンドが買われ、英ポンド/米ドルが上昇する可能性があります。
中央銀行の政策金利
各国の中央銀行が定める政策金利は、その国の通貨に直接影響を与えます。一般的に金利が上昇すると通貨価値が上がり、下がると通貨価値が下がります。
具体例
日本銀行が政策金利を引き上げると発表した場合、円が買われ、米ドル/円が下落する可能性があります。
貿易収支
貿易収支は、ある国の輸出と輸入の差を示すもので、黒字が拡大すればその国の通貨価値が上昇し、赤字が拡大すれば通貨価値が下落します。
具体例
中国の貿易収支が大幅な黒字を記録した場合、中国元が強くなり、対ドルで上昇する可能性があります。
テクニカル分析が有効な場面
テクニカル分析は特に短期トレードやレンジ相場で有効です。例えば、米ドル/円が狭いレンジ内で推移している場合、サポートラインで買い、レジスタンスラインで売るという戦略が有効です。また、強いトレンドが発生している場合も、移動平均線やトレンドラインを使ってトレンドフォローの取引を行うことができます。
例えば、英ポンド/米ドルが下降トレンドにある中で、20日移動平均線が50日移動平均線を下抜けするデッドクロスが発生した場合、売りエントリーの有効なタイミングと考えられます。
ボリンジャーバンドを使った逆張りのトレードも、テクニカル分析が有効なシナリオです。例えば、豪ドル/米ドルがボリンジャーバンドの下限にタッチし、さらにRSIが30以下に達した場合、短期的な反発を狙った買いエントリーを行うことができます。
ファンダメンタルズ分析が有効な場面
ファンダメンタルズ分析は、中長期のポジショントレードや、重要な経済イベントの前後で有効です。特に、中央銀行の金利政策やGDP発表などの主要経済指標は、長期間にわたり市場に影響を与えるため、これらを基にしたトレード戦略が求められます。
具体例としては、米国が予想を上回るGDP成長率を発表した場合、米ドルは中長期的に上昇傾向を続ける可能性があります。このような場合、米ドル/円のロングポジションを長期間保有することで利益を得る戦略が考えられます。
また、政策金利の変更が発表される前後は、市場が大きく動く可能性が高いため、ファンダメンタルズ分析による事前の準備が重要です。例えば、欧州中央銀行が金利を引き下げると発表する場合、ユーロが売られ、ユーロ/米ドルが下落する可能性が高まります。このような時に、売りポジションを保有することで利益を狙います。
ファンダメンタルズ分析は、通貨ペアごとの相関関係を理解することも重要です。たとえば、原油価格の上昇がカナダドル(CAD)にプラスの影響を与えることが多いため、原油価格が急騰した場合、カナダドルの買いを検討することができます。