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仮想通貨業者へ預金・国債保有を義務化へ
日本仮想通貨交換業協会が、協会員各社に対し、盗難リスクに備え預金又は国債の保有など安全性の高い資産を保有することを義務付けることを検討していることが関係者からの報告で明らかとなりました。
日本仮想通貨交換業協会とは?
正式名称は、一般社団法人日本仮想通貨交換業協会(JVCEA)で、会長には株式会社マネーパートナーズ 代表取締役社長である奥山泰全氏が就任しています。
日本の主要な仮想通貨取引所として知られるGMOコイン株式会社や株式会社DMM Bitcoinも名を連ねています。
仮想通貨の危険性緩和の狙い
仮想通貨取引所が明確lに流行したのは、キプロスという島国での金融危機からビットコインに資金が流れ価格上昇を引き起こしたのは記憶に新しいですね。しかし、この後2014年2月に東京にも拠点を置いていた仮想通貨取引所マウントゴックスがサイバー攻撃により経営破綻を引き起こしました。
その後日本でも、2018年1月にコインチェックが、2018年8月にZaifがサーバー攻撃を受けました。なんとか業界全体が仮想通貨業界の信用回復に努めていた中、起きたこの事件は、日本の仮想通貨離れを助長させるのに十分でした。
その後、Zaifはハッキング被害による保証を自己資金で補償することができませんでした。そこに金融庁による指摘が入ったのです。
そもそもなぜサイバー攻撃により盗まれてしまうのか?
世界中でも多くの被害が出ているのにも関わらず、2018年にもなってなぜまだ流出事件が起きてしまうのでしょうか。その根本の原因にはオンラインの秘密鍵の保管方法にその要因があります。
秘密鍵はサイバー攻撃により盗み出されてしまえば容易に仮想通貨を抜き出すことができる情報です。取引所はその性質上、オンラインでその秘密鍵を補完している状態でなければ取引をスムーズに行えません。サイバー攻撃は各社も対策に本気であり、様々な方策で対応していますが、攻撃・対処のいたちごっこであるため、どこの取引所もいつかは破られてしまってもおかしくありません。盗まれないためにはオフラインで保管するのが最も安全ですが、そうはいかないのが実情です。
そこで、同協会は、オンラインで秘密鍵を保管している業者に対し、流出リスクの高いオンラインで保管している資産分に見合う安全資産の保有を義務付け、有事の際にはそこから補償に充てるといった方策をとろうとしているのです。
サイバー攻撃に対する準備があれば考慮される
ただし、すべてのオンライン保管について資金を用意しておくのは容易ではありません。そこで、同協会ではウォレットを複数展開するなど、一つがサイバー攻撃を受けたとしてもすべて奪われないようにする盗難リスクを減らす施策を行っている場合は、安全資産の保有額を考慮する旨もあるとしました。
ただし、このニュースは公式発表ではなく関係者からの方向であり、協会として決定した事項ではないとしています。
仮想通貨に対して世界中で資産保全の動き
今回の日本仮想通貨交換業協会の動きのように仮想通貨資産に対する補償に備えるための動きは多くられます。スイスの「CryptoIns」という保険サービスではハッキング事件に対して全額の保証が受けられるというサービスをオンラインで展開しています。
他にも韓国・米国でも同様の保険サービスの展開が見られていますが、適用となる条件の幅が狭いため、今後長い調整が必要になると考えられています。
日本でも、三井住友海上保険はビットフライヤーと盗難補償サービスを、東京海上日火災はコインチェック社と提携していました。しかし、コインチェック社の流出事件の際は、不正アクセスによる補償は適用外になっていたために補償が行われませんでした。
保険会社もこのように巨額の損失を頻繁に出している業界に対しては二の足を踏んでしまう実情も理解できますが、一日でも早く双方の利益になる方法を模索してほしいものです。
執筆者 西村大樹