「仮想通貨は危険って聞いたけど本当?」
「仮想通貨とか暗号資産とか、なんだか怪しい感じがする」
仮想通貨(暗号資産)についてよく知らない人であれば、仮想通貨に対してただ漠然と危険なイメージを持っていることも少なくないのではないでしょうか。
投資商品・金融商品として人気がある仮想通貨は、確かにリスクを持っている部分もあります。ただそのリスクを理解したうえで、適切に扱える人が利益を出していることは確かです。
この記事では、仮想通貨がどういったことに危険性を感じられやすいのか解説します。どのような危険があるのか知ることは、あなたの資産を守ることに繋がり、取引のリスクも最小限にできるはずです。
「これから仮想通貨を購入したい」「仮想通貨の取引をしてみたい」と考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
仮想通貨は危険?でもちょっと期待している?
仮想通貨に詳しくなかった頃は、きっと誰もが「危険なのかな……?」と思いつつ始めようとしていたのではないでしょうか。
実際、よく知らない人ほど危険というイメージを持っているのが現状。そして「危険だからこそ逆に儲かるのでは……?」という期待にも繋がっているような印象です。
仮想通貨に手を出すのは危険ですか?
余剰資金の5万円ほどです
引用元:Yahoo!知恵袋
仮想通貨は危険ってイメージが私には強いのですが、実際のところどうなんでしょうか?
仮想通貨についての知識がないから怖い、危険って考えてしまうのでしょうか?
引用元:Yahoo!知恵袋
仮想通貨は危険ですか?友人にBTCをおすすめされました
引用元:Yahoo!知恵袋
株や仮想通貨って危険ですか?
全財産をかけると言うわけではなく、1万円チャレンジのように少額でゲームとして楽しむ程度です。うまくいけばラッキーだなみたいな感じです。千円から1万円の利益が出れば万々歳といった感じです。
引用元:Yahoo!知恵袋
「仮想通貨は危険だけど儲かる」そんな漠然としたイメージでは、仮想通貨を購入しても、それこそ危険な目に遭いかねません。
「儲かる」という言葉に期待しすぎないように、まずは仮想通貨にどんなリスクがあるのかをしっかりと理解することが大切です。
▼仮想通貨(暗号資産)の用語については、こちらをご確認ください。
仮想通貨の危険性はどう受け止められている?
では、実際に仮想通貨の購入している人は、具体的にどういった危険性を感じているのでしょうか。
株式会社アイネット証券が2021年に実施した「暗号資産(仮想通貨)の現在と未来」に関する調査によると、「暗号資産(仮想通貨)のリスクで気になるものを教えてください(複数回答可)」という質問に対して、下記のような結果が出ました。
- 価格変動リスク 61.9%
- サイバー攻撃などのハッキングリスク 29.0%
- 流動性リスク 28.3%
- システム障害リスク 22.1%
- クレジットリスク(信用リスク) 20.9%
- 取引所の経営破綻リスク 19.8%
- 秘密鍵やパスワードの紛失リスク 16.2%
- ウォレットの破損リスク 14.0%
- 法規制・税制などの規制リスク 14.0%
- GOXリスク 9.4%
- 特に気になるものはない 3.4%
また、「暗号資産(仮想通貨)のリスクに対して思うこと」については、下記のような回答となりました。
- 価格上昇幅の大きさも含め、そういった資産だと考えており、投資の優先順位は高くしにくいものだと思っている(30代/男性/広島県)
- 停電した時や資産に関するデータが飛んでしまった時、一部でも保護してもらえるのかが気になる(30代/男性/新潟県)
- 仮想通貨の取引に関するリスクや危険性をしっかりと理解したうえで、取り組むことが重要(40代/女性/埼玉県)
- リスクが値動きの粗さと直結しているため、容認するしかない(50代/男性/栃木県)
- 突然取引禁止になるかも、というような極端なリスクがあるので、取引をしないほうがいい(50代/男性/大阪府)
自分では対処のしようがないことについては、「そういうもの」だとして納得の上で仮想通貨を購入している人がほとんどのようです。
全てのリスクを知ったうえで「自分はリスクを冒せないので購入しない」と判断するのか、できる限りのリスク対策をしたうえで資産運用の手段とするのか、全ては自分次第。そういった意味で、仮想通貨は基本的に「自己責任」と考えられている部分も多いです。
▼仮想通貨について学びたい人にオススメの本はこちら。
仮想通貨=危険のイメージがついた事件を解説
仮想通貨が取引されるようになってから、国内外問わずハッキングによって仮想通貨が盗まれる事件が発生しています。数千万~数百億円というレベルの被害が起こっているため、仮想通貨は危険リスクを伴うものだと考えている人は少なくありません。
ここでは、日本で特に話題となった事件について紹介します。
2014年のマウントゴックス事件
東京都に拠点を構える仮想通貨取引所「マウントゴックス(Mt.GOX)」では、2014年3月にハッキングを受けました。これにより、一般顧客から預かったビットコイン(BTC)のほとんどが流出。その被害総額は当時の市場価格で約470~500億円とされていて、ビットコイン最大の事件と言われています。
このマウントゴックス事件は、仮想通貨やビットコイン(BTC)の知名度が上がったと同時に、多くの人に危険であやしいイメージを与えてしまいました。ただし、これをきっかけに仮想通貨の安全性や信頼性が問われるようになったことも確かです。この事件後、日本では仮想通貨に関するさまざまな法整備が行なわれています。
2017年のコインチェック事件
有名な日本の仮想通貨取引所「コインチェック(Coincheck)」でも、2017年1月にハッキングを受けました。盗まれたのは仮想通貨ネム(NEM)で、被害総額は当時の市場価格で約580億円相当。ただし、被害額についてはコインチェック自社負担して、被害者へ全額返金されました。
事件の原因は、社員が外部から送られたメール内リンクを開いたことによるマルウェア感染とされています。当時コインチェックではネム(NEM)をインターネットに接続された状態で保管していたため、不正アクセスにつながったと言えるでしょう。この事件により、利用者の間では取引所のセキュリティ対策について重要視されるようになりました。
仮想通貨の危険性は2種類に分けられる
仮想通貨の危険性やリスクについてはいろいろ挙げられますが、おおまかに2種類に分けられると言えるでしょう。
それは、仮想通貨の特性や扱い方による「仮想通貨そのものの危険性」と、仮想通貨の取引や保管を行なう「仮想通貨取引所の危険性」です。
仮想通貨選びや仮想通貨取引所選びにもかかわるので、それぞれがどういった原因で何が起こるのかをしっかり把握しておくことは、非常に重要なポイントとなります。
▼仮想通貨の定番!ビットコイン(BTC)について知りたい方はこちら。
▼仮想通貨取引所について知りたい方はこちら。
【危険性その1】仮想通貨そのものの危険性
仮想通貨そのものの危険性については、下記のようなものがあります。
価格変動率の高さ
需要と供給のバランスによって価値が変わる仮想通貨は、価格変動率(ボラティリティー)が大きいのが特徴です。購入した時の倍以上の値段がつくこともあれば、大幅に下落してしまうこともあります。
仮想通貨を購入する際は、チャートを見ながら利益や損失を考慮しつつ、納得のできる金額で購入するようにしましょう。
仮想通貨の利益に対する税金
仮想通貨を取引した際に利益が発生すると、税金を支払う必要があります。また、仮想通貨で商品を購入した時、他の仮想通貨に交換した時、マイニングやステーキングの報酬をもらった時も同様です。
知らないうちに脱税したことになっていた、ということがないように利益が発生するタイミングに注意しましょう。
▼仮想通貨の利益や税金については、こちらを参考にしてみてください。
アドレス間違いによる送金ミス
仮想通貨を取引する際に利用するアドレス(口座番号のようなもの)を間違えると、違う相手に送金してしまう可能性があります。アドレスは英数字のランダムな組み合わせになっていることがほとんどで、入力間違いをしてしまう人もいるようです。
この場合取り戻せない場合がほとんどなので、アドレスを入力する際はコピー&ペーストするなどして対策しましょう。
法規制による取引の制限
仮想通貨はいろんな国で取引が行なわれてますが、仮想通貨に関する法規制が行なわれた際に取引に制限が設けられる可能性もあります。その場合は、ユーザーの需要を満たすことができず、最終的には仮想通貨の価値が下がってしまうことも考えられるでしょう。
国によっては、仮想通貨に反対する姿勢を示している国もあるため、今後も各国の動向には注意が必要です。
ニセ仮想通貨の可能性もある未公開コイン
リリース前の未公開コインは、偽物である可能性があります。プロジェクト自体が詐欺まがいである場合もあり、資金を集めた後に連絡が取れなくなることもあるようです。
どんなに魅力的にみえても、取引履歴のない仮想通貨は値段がつくかどうかが判断ができません。「今から購入しておけば儲かる」といった言葉に惑わされないように気を付けましょう。
ウォレットのハッキング
仮想通貨を自分で保管する際に使用するウォレットがハッキングされる可能性もあります。最近は、フリマサイトなどでハードウェアウォレット(専用端末をUSB接続するタイプ)が販売されていますが、購入しない方が良いでしょう。中古の場合、IDやパスワードなどを抜き取られる危険があります。
通販サイトで新品を購入した場合でも、返品されたものをそのまま販売していることもあるので注意が必要です。
▼ウォレットについてはこちらも参考にしてみてください。
【危険性その2】仮想通貨取引所の危険性
仮想通貨取引所の危険性については、下記のようなものがあります。
レバレッジ取引で損失が大きくなる
レバレッジ取引では、証拠金を預けて担保にすることで何倍もの金額で取引ができるため、損失が大きくなりやすくなります。特に、仮想通貨の値動きを予測できない初心者が少ない資金で大きな額を取引することは危険です。
そのため、レバレッジ取引は仮想通貨の通常の取引に慣れてから行なうようにしましょう。
▼仮想通貨のレバレッジ取引については、こちらを参考にしてみてください。
仮想通貨取引所へのハッキング
これまで数々の仮想通貨取引所がハッキングに遭ってきたように、取引所が保管している仮想通貨は常に狙われています。セキュリティー対策を行なっているとはいえ、いつどのような経緯で仮想通貨が盗難されるかわかりません。
仮想通貨を手に入れたら取引所に保管したままにせず、なるべくインターネットが繋がっていないコールドウォレットに移すようにしましょう。
▼仮想通貨取引所のウォレットについては、こちらも参考にしてみてください。
海外仮想通貨取引所を使うリスク
海外の仮想通貨取引所は国内と比べてアルトコイン(オルトコイン)の種類が充実している点が大きな特徴ですが、日本語に対応していないところがほとんどなのでトラブルがあってもしっかり対応してもらえるかどうかわかりません。
ハッカーにも狙われやすいので、海外の仮想通貨取引所を利用する際はセキュリティがしっかりしたところを選ぶようにしましょう。
▼アルトコインについて詳しく知りたい方はこちら。
日本語対応&セキュリティ万全なビットキャッスル
ビットキャッスル(bitCastle)は海外の仮想通貨取引所ですが日本語に対応しています。また、大半の仮想通貨をコールドウォレットで保管しているのも大きな特徴。利用者数が増えているので、今後に期待が持てます。
バイナリーオプションの最大倍率も2.0倍なので、バイナリーオプションに挑戦したい人にもオススメです。
▼バイナリーオプションに興味がある人は、こちらも参考にしてみてください。
警察庁が発表した仮想通貨の危険度
警察庁が2020年11月に発表した「犯罪収益移転危険度調査書」では、危険性の認められる商品・サービスに「暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産」が含まれています。
仮想通貨が犯罪に利用される可能性があるという意味での危険度を指しているため、自分にはあまり関係のないように感じますが、犯罪に巻き込まれないために一度目を通しておくと良いかもしれません。
第4商品・サービスの危険度
(7) 暗号資産交換業者が取り扱う暗号資産ウ 危険度の評価
暗号資産は、利用者の匿名性が高いという性質や、その移転が国際的な広がりを持ち、迅速に行われるという性質を有するほか、暗号資産に対する規制が各国において異なること等から、犯罪に悪用された場合には、当該犯罪による収益の追跡が困難となる。
実際、その匿名性を悪用し、不正に取得した暗号資産を暗号資産交換業者を介して換金し、他人名義の口座に振り込ませていた事例等があることも踏まえれば、暗号資産は、マネー・ローンダリング等に悪用される危険性があると認められる。また、疑わしい取引の届出の状況や事例等を踏まえると、本調査書中「第5 危険度の高い取引」で取り上げる取引のほかに、取引時の状況や顧客の属性等に関して、匿名又は架空名義・借名・偽名(その疑いがあるものを
含む。)による取引は、危険度がより一層高まるものと認められる。さらに、暗号資産取引が世界規模で拡大し、それを取り巻く環境も急激に変化していることも考慮に入れると、暗号資産がマネー・ローンダリング等に悪用される危険度は、他業態よりも相対的に高いと認められる。加えて、預金取扱金融機関がマネー・ローンダリング等対策を強化していることを背景として、マネー・ローンダリング等を行おうとする者が、預金取扱金融機関が取り扱う商品・サービスのほかに、暗号資産取引を用いる事例も認められ、こうした事
情も暗号資産の危険度を高めることとなる。このような危険度に対して、所管行政庁及び業界団体等は、法令上の措置は当然として、前記のような危険度の低減措置を行っており、これらの措置の効果もあり、事業者による疑わしい取引の届出が大幅に増加したり、適切なマネー・ローンダリング等対策の措置が講じられていない事業者が業務停止命令等を受けて業務を停止したりするなど、危険度の低減措置の効果が一定程度表れている。
しかしながら、暗号資産取引を取り巻く環境の急激な変化に対して、適時適切な危険度の低減措置を行っていくことは容易ではなく、それらの取組が不十分な場合は適切な低減措置が図れず、危険度はなお高いままとなる。
金融庁が公表する仮想通貨取引所で危険リスクを下げる
2017年4月1日より、国内で暗号資産と法定通貨との交換サービスを行う業者は「暗号資産交換業」の登録が必要になっています。
登録には審査があり、さまざまなリスクへの対応が条件に含まれているのが特徴。また、人的構成や財産的基礎などの綿密な審査が行なわれるので、登録された取引所なら比較的安心して利用できると言えるでしょう。
金融庁のホームページから暗号資産交換業者登録一覧をみることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
法整備によって仮想通貨の取引は安全になっていく?
金融庁や国税庁によって定められた法律によって、日本で行なわれる仮想通貨の取引は利用者にとって安心できるものになりつつあります。しかし、株などの金融商品に比べると法整備はまだ充分とは言えないでしょう。
金融が発展してきた歴史のなかには、不正の歴史も含まれています。ITリテラシーが必要とされる仮想通貨は、今後も適切な法改正を望まれているのが現状です。
【まとめ】仮想通貨の危険性を理解したうえで投資しよう
仮想通貨=危険というイメージは過去に起こった事件によるものが多いですが、同時に日本では多くの法整備が行なわれ始めました。
仮想通貨の危険リスクはさまざまですが、なかには自分で対策できることもあります。仮想通貨での投資を始めたいと思っている人は、この記事を参考にして充分なリスク対策を心がけましょう。
執筆者 西村大樹