「シンガポールの仮想通貨取引所は何がある?」
「シンガポールの仮想通貨を選ぶメリットは?」
シンガポールでの仮想通貨の需要は非常に高く、世界最大規模の仮想通貨取引所「Binance(バイナンス)」も2019年7月にシンガポールを拠点に取引所を立ち上げています。日本国内でも、シンガポール拠点の取引所を好んで利用する投資家の動きがあり、根強い人気が伺えます。
この記事では、シンガポールに拠点を置く仮想通貨取引の一覧と、シンガポールの取引所を選ぶメリットや注意点、比較するポイントについてご紹介します。
シンガポール拠点の仮想通貨取引に興味がある方は、ぜひ参考にご覧ください。
目次
シンガポール拠点の仮想通貨取引所を選ぶ3つのメリット
シンガポール拠点の仮想通貨取引所を選ぶ3つのメリットをご紹介します。
- シンガポール政府が仮想通貨に肯定的
- 仮想通貨への関心が高く制度が進んでいる
- 仮想通貨の取扱数が多い
それでは一つずつ見ていきましょう。
メリット①シンガポール政府が仮想通貨に肯定的
シンガポールは、アジア圏で最大の仮想通貨大国と呼ばれています。
その理由の1つが、シンガポール政府の仮想通貨に対する見解が肯定的だという点です。
シンガポールでは、需要のあるアセットに対して投資するのであればそれが仮想通貨であっても何ら問題がないという見方をしています。一部の詐欺通貨や詐欺プロジェクトをのぞき、魅力的な仮想通貨プロジェクトやトークンであれば、厳しい規制を行わない方針をとっているのです。
なお、詐欺からユーザーを守るために、以下のサービスを提供する場合はライセンスの取得が必須となっています。
- デジタル決済で仮想通貨を取り扱う場合
- 証券化された仮想通貨を取り扱う場合
ある程度の規制を設けつつも、仮想通貨を基軸にした活動は今後世界的な発展が見込めるため、「手探りの状態ではあるが前に進まなければ世界から遅れをとってしまう」とシンガポール通貨庁・長官のメノン氏が発言しています。
シンガポールは今後も仮想通貨の基盤が整備されていき、仮想通貨を公正に取引できる国家としての地位を確立していくことでしょう。
メリット②仮想通貨への関心が高く制度が進んでいる
シンガポールでは、政府だけでなく国民全体の仮想通貨への関心が高く、ブロックチェーンが日常的なものになりつつあります。
例えば、フィンテック(金融+技術)の取り組みは非常に進んでおり、株式や証券をデジタル化してブロックチェーン上で発行するSTOなどのプラットフォーム開発は国家レベルで行われています。国がリードすることで民間企業での開発スピードを促進させる意図があり、ゆくゆくは海外への進出も目指しているとのことです。
フィンテックのみならず、教育システムや交通インフラなどでもブロックチェーンを活用していく動きを見せており、仮想通貨やブロックチェーンの発展においてアジア圏をリードする存在といっても過言ではないでしょう。
メリット③仮想通貨の取扱数が多い
日本国内の仮想通貨取引所と比べてシンガポールに拠点をおく取引所では取り扱われている仮想通貨が多いというメリットもあります。
国内の仮想通貨取引所に上場している取引所では、せいぜい5〜10種類ほどです。世界で話題になっている仮想通貨にもかかわらず、国内の取引所では上場されていないといったケースも多々あります。
仮想通貨の取扱数が多いということは、需要のある通貨が真っ先に上場する可能性が高いことを意味します。取引口座さえ持っていれば上場したタイミングですぐに取引に参加ができるため、特にはじめての上場を狙いたい投資家はシンガポールの取引所口座を持っていて損はないと言えます。
シンガポール拠点の仮想通貨取引所を利用する際の注意点
次に、シンガポール拠点の仮想通貨取引所を利用する際の注意点をご紹介します。
仮想通貨の取引を開始し、Twitterなどで情報収集していると、多くの大口トレーダーがシンガポールを住まいの拠点にしていることに気づきます。理由として挙げられるのが「税金が少ない」という点です。
このことから、シンガポールの仮想通貨取引所を使えば税金が安く済むと勘違いする人も多く、結果として多くの課税が強いられるケースが後を経ちません。
多くのトレーダーが気になる税制上の注意の他、「使いにくさ」と「ハッキングリスク」についても解説していきます。
シンガポール拠点でも日本の居住者であれば日本での税制で課税
シンガポールといえば、税率が非常に低い国として有名です。
シンガポールでは仮想通貨の売買で発生した差益(キャピタルゲイン)が非課税になる他、所得税も最高で20%、法人税は20%、相続税や贈与税もかかりません。さらに、国外で発生した所得も非課税となります。
これが日本国内の場合、仮想通貨の売買で発生した差益は雑所得、課税方式は総合課税となり所得税と住民税を合わせて最大55%の課税となります。もちろん、相続税や贈与税も発生します。
▼仮想通貨の確定申告についてはこちらの記事を参考にご覧ください。
ですが、これはシンガポールに居住している人の場合です。シンガポールの取引所で仮想通貨の売買差益を得たとしても、日本国内に居住していれば日本の税制で課税されます。
「シンガポールの取引所だから、日本でバレないのでは?」と思いたいところですが、租税条約を結んでいる国家同士であれば国を跨いで情報の提供と収集ができるようになっています。シンガポールやアメリカ、中国、香港、ヨーロッパの各国など、仮想通貨の取引所が拠点を置く国はおおよそカバーされています。
どのような情報が国税庁で把握できるかというと、日本国内の取引所と海外の取引所で仮想通貨を送受金した履歴やクレジットカードの利用履歴などです。つまり、シンガポールの取引所で取引するためのルートは、国税庁が把握できる範囲だということを意味します。
日本語・日本円に対応していない取引所が多い
シンガポールの仮想通貨取引所は、日本語・日本円に対応していない取引所がほとんどです。
仮想通貨や投資に関する専門用語も多いため、英語が苦手な方は非常に扱いづらいでしょう。翻訳機能を利用しながら意味を把握する+仮想通貨や投資の専門用語を理解するのは、大変手間がかかる作業です。スピード感を持ってトレードしたい方にはもどかしい部分かと思います。
また、ほとんどの取引所で日本円に対応していません。仮想通貨を普段からウォレットなどで保管していて、そのウォレットが取引所と連携できるのであれば手間はかかりませんが、ウォレットを利用していなければ、「日本国内の仮想通貨取引所から入金→仮想通貨を購入→シンガポールの取引所へ送金→購入したい仮想通貨と交換」という方法をとる必要があります。
- 日本国内の仮想通貨取引所から入金
- 仮想通貨を購入
- シンガポールの取引所へ送金
- 購入したい仮想通貨と交換
反対に、シンガポールの仮想通貨取引所で得た差益を日本円に換金したい時も、逆の手順をふむ必要があります。
手間がかかるだけでなく送金するための手数料も発生するため、手数料が高額になりがちな通貨だと、手数料で利益のほとんどを持っていかれてしまうケースも考慮しておかなければなりません。
ハッキングや詐欺のリスクが高い
日本国内に拠点をおく仮想通貨取引所は、非常に厳しい審査と規制の元で運営されています。これは、仮想通貨取引を楽しませたくない、と意地悪しているのではなく、国民が仮想通貨取引で大きな損失を出してしまわないように保護しているのです。
シンガポールは仮想通貨に寛容な国ですが、裏を返すと、悪徳な業者かどうかを自身で見抜けないとハッキングや詐欺のリスクに遭う確立が高くなります。シンガポールの取引所でハッキング被害や詐欺被害に遭ってしまっても、全て自己責任となります。
シンガポールの取引所を利用する際は、こういったリスクも含めて資産管理することが重要です。
【一覧】シンガポール拠点の仮想通貨取引所
シンガポール拠点の仮想通貨取引所をご紹介します。
シンガポールを拠点とする仮想通貨取引所は複数ありますが、安全な取引を第一に考えて以下の基準に1つでも該当する取引所を選定しています。
- シンガポール金融管理局(MAS)のライセンスを獲得している
- 仮想通貨の取引実績がある上位の取引所
必ずしも安全に取引できるというわけではなく、いつサービスが停止するかわからない・利用できなくなるかわからないというリスクもはらんでいます。自己責任の元、余剰資金で取引してください。
Binance Singapore
設立 | 2017年7月 |
取扱通貨数 | 8種類 (BTC/ETH/BNB/LTC/BCH/XRP/NEO/LINK) |
取引手数料 | 0.60% |
特徴 | 世界最大規模の取引所Binanceのシンガポール支店 |
Binance Singapore(バイナンスシンガポール)は、マルタ島に本社をおく世界最大規模の仮想通貨取引所Binanceのシンガポール支社です。Binanceはもともと中国でスタートした取引所でしたが、中国での仮想通貨の規制が強まったことから本社がマルタ島へ移転しました。
2021年9月6日、シンガポール金融庁(MAS)からBinanceに対して警告が発せられ、一部のサービス停止やアプリストアからの削除などの措置がとられましたが、これは本社の取引所Binanceに向けたもので、Binance Singaporeでのサービス内容の変化などはありません。
DDEx
設立 | 2018年1月 |
取扱通貨数 | 100種類以上 ※イーサリアム(ETH)ベースのトークン |
取引手数料 | 0.10% |
特徴 |
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DDExは、シンガポールの銀行であるDBS銀行グループの証券会社DBS Vickersが運営する仮想通貨取引所です。DDExはシンガポール金融庁(MAS)のライセンスを取得しており、仮想通貨の現物取引に加えて投資信託の販売も行っています。
最大の特徴として、名前に「DEX」とあるように分散型取引所となっています。
DEXの特徴は、取引の仲介に管理者を挟まずユーザー同士が直接取引を行うシステムだということ。ブロックチェーンのスマートコントラクト機能(自動で契約を実行する機能)を活用しており、手数料の安さが魅力の取引所となっています。メールアドレスやウォレットさえあれば本人確認の必要なく利用が開始できるので、シンガポールでのIDなどは不要です。
Independent Reserve
設立 | 2013年 |
取扱通貨数 | 25種類以上 (BTC/ETH/MATIC/ADA/DOTなど) |
取引手数料 | 0.02%〜 |
特徴 |
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Independent Reserve(インディペンデントリザーブ)はオーストラリアで創立した仮想通貨取引所で、DDExと同時にシンガポール金融庁(MAS)でのライセンスを取得しました。シンガポールで初めて投資家や機関投資家向けに仮想通貨のサービスを提供した取引所でもあり、信頼性の高い取引所として知られています。
Independent Reserveの特徴は、法定通貨の取扱が多いこと。シンガポールドル(SGD)やオーストラリアドル(AUD)だけでなく、アメリカドル(USD)やニュージーランドドル(NZD)も取り扱っています。
Independent Reserveの公式サイトはこちら>
Coinhako
設立 | 2014年7月 |
取扱通貨数 | 14種類 (BTC/BCH/ETH/LTC/NEO/ADA/XTZなど) |
取引手数料 | 1.00% |
特徴 |
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Coinhako(コインハコ)はアメリカが誕生し、シンガポールに本社を置く仮想通貨取引所です。シンガポールの銀行口座と直接入金・出金できることから、シンガポールに居住している人は大変使いやすい取引所となっています。
法定通貨はシンガポールドル(SGD)の他に、ベトナムドン(VND)も取り扱いがある他、クレジットカード各社と提携しているという特徴を持ちます。
Gemini Singapore
設立 | 2015年 |
取扱通貨数 | 48種類 (BTC/ETH/LTC/DOGE/XTZ/DAIなど) |
取引手数料 | 0.50% |
特徴 |
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Gemini(ジェミニ/ジェミナイ)はアメリカ・ニューヨークに本社を持つ仮想通貨取引所です。2016年にシンガポールへ進出し、アジア圏のプラットフォームとしての機能を担っています。シンガポールの他に、オーストラリアやカナダ、香港などでサービスを広げており、今後は日本でのサービス展開も期待されています。
Gemini Singaporeでは、シンガポールの銀行口座からの入出金が可能となっているため、シンガポール居住者に使い勝手の良い仕様となっておりますが、今のところ日本から新しく口座を開設することはできません。
【番外編】bitcastle
設立 | 2019年 |
取扱通貨数 | 22種類 (BTC/ETH/BTC/IRIS/USDT/XRPなど) |
取引手数料 | 0〜0.10% |
特徴 |
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bitcastleはシンガポール拠点ではないものの、日本語対応している海外拠点の仮想通貨取引所で、取引手数料の安さに強みがあります。大半の仮想通貨がオフラインのコールドウォレットで管理されるので、セキュリティ対策も万全です。
法定通貨の取扱はありませんが、アメリカドルのペッグ通貨であるテザー(USDT)の取扱がありますので、あらゆる取引所との送受金で不自由することもないでしょう。
取引所ではまだ珍しい仮想通貨のバイナリーオプション取引にも対応していますので、短期トレードを楽しみたい方にもオススメです。現在バイナリーオプションの取引で最大50$分の仮想通貨もプレゼント中ですのでこの機会に登録してみてください!
シンガポール拠点の仮想通貨取引所を比較する3つのポイント
シンガポール拠点の仮想通貨取引所を比較する際の、3つのポイントをご紹介します。
- 各種手数料
- 取引できる仮想通貨の種類
- 業者の信頼性や利用者の数
シンガポールの取引所に限らず、国内外の取引所を選ぶ際にも共通して言えることですが、あらためて押さえておきましょう。
ポイント①各種手数料
仮想通貨を売買や取引を実施する際は、さまざまな場面で手数料が発生します。
- 購入手数料
- 売却手数料
- 送付手数料
- 入金手数料
手数料は取引所によって異なる他、取り扱う通貨によっても差があります。事前に購入したい通貨が決まっていれば、その通貨を軸にして複数の取引所で発生する手数料を調べておくと、少しでも多くの利益を手元に残しておけます。
ポイント②取引できる仮想通貨の種類
取引できる仮想通貨の種類も選ぶポイントとなります。
「これ」と決めた通貨があれば、その通貨が上場している取引所を選ぶのはもちろんですが、さまざまな通貨に投資してみたい・将来性のある通貨を色々と保有してみたいという希望があれば、仮想通貨の取扱数が多い取引所を選ぶと良いでしょう。
取引所の口座はいくつ保有していても問題ありませんが、資産が散らばっていると管理が難しくなります。複数の口座を持つ場合は、エクセルやスプレッドシートなど1つのデータで資産状況の把握をすると便利です。
ただし、ハッキングや個人情報の流出リスクを防止するため、IDや秘密鍵を同じ場所で一括管理するのは危険です。過去には、Googleドライブに保管されていたデータが流出し、ハッキング被害を受けたり、データを紛失したという例もあります。重要なデータはオフラインで管理するのがベストと言えます。
ポイント③業者の信頼性や利用者の数
今回ご紹介したシンガポール拠点の取引所はどれも信頼性の高い取引業者ですが、世の中には信頼性の低い取引業者も数多く存在します。運営元がどのような会社なのか、口座を開設する前にリサーチしておきましょう。
取引所を利用しているユーザー数が多ければ、多くの情報を拾うことができます。日本人コミュニティのある取引所を選べば、何か問題が起きた際もみんなで助け合いながら乗り越えられます。
【まとめ】シンガポール拠点の仮想通貨取引所で取引を楽しもう
日本に居住している場合、たとえシンガポールの取引所を利用していたとしても日本の税制が適応されるため、日本語対応ない・金融庁の規制下にないといった点から考えてもシンプルにリスクが大きいと言えるでしょう。
海外の取引所を利用してみたいのであれば、今回ご紹介したbitcastleのような日本語対応している取引所の方がスムーズに取引を楽しめます。簡単にデモトレードを開始できるので、試してみてはいかがでしょうか。
執筆者 西村大樹